木が好きだ。
昔版画の授業の時に、とにかくカリカリと一心に
木と街灯を銅板に刻み続けたことがある。
その時に私が描きたかったものは
表層とか内面とかそんなものではなかっただろうな、という気がしている。
街灯が、木の向こうから煌々と私からは見えない方を照らして
木の細枝が細やかな光の線で幾重にも重なったぼんやりした円を描いていた。
あれを、どうしても描きたいと、ただそれだけの気持ちだった。
写真に撮ると見えない円が、肉眼では見えることがあるから
やっぱりか描くしかないんだろうな、と思う、そんなことが他にもある。
いろいろ思い出さないといけないことも、ある。
懐かしがるという方向ではなく。